徳興里壁画古墳の羨道入口の西壁に描かれた壁画である。羨道入口の壁画は剥落が最もひどい場所で、壁画の内容を把握することがとても難しい。しかし、残存している壁画を詳しく見ていくと、北側には童子を連れている人物が見え、南側にはXの形に交差させた槍を持っている妖怪が見える。鬼のような顔と体から生えている羽毛のイメージからして、おそらく方相氏(中国古代の神話上の人物で、悪鬼を追い払う魔よけの力を持ち、守護神とされた)ではないかと思われる。ここでは墓を守る守護神として描かれたと判断される。