去歲、豊前申上候ハ、其身內松尾七右衛門與申者を、在所へ押留置儀は、拙子大切之儀を仕置候故、おさへ置申之由、申上候事。
一 (右同) 彼七右衛門を留置申候儀ハ、豊前へ申付置候代官所之算用承不濟故ニ候。其算用差延不承候子細ハ、祖父·親以來は、知行所之村をも定不申、其年々ニしたかい、所務仕候樣ニと、古對馬守申付置候。當豊前茂初之程ハ、左樣ニ仕居候か。其後ハ拙子へも不申聞、其身內々にて、還部と申候村を引分召置候間、祖父·親之ことくに、惣ならしニ算用仕候得之由申付候得共、仕なをし不申候之故、在所へ留置申候。
一 (右同) 拙子幼少之時より至に今、彼七右衛門非道之所存有之故、左樣之儀をも相尋爲可申、押留置申候。
一 (右同) 四年先、彼七右衛門豊前寺於流芳院、可致自害と仕候を、其座ニ居合候者、押留置候由、拙子留守居之者共承付、七右衛門ニ申聞セ候は、其方事數年之算用を拘居候。其上對馬守其方江可相尋儀茂有之由、連々申候間、致養生候得之由申付候而、後彼者在所をかけおち可仕之企申候由、風聞仕候故、左樣ニ無之樣ニ與堅申付候。彼者か樣ニ仕候儀、其重科ニ御座候を難遁存候而、如此分別仕候。