覺

一 (三) 一件理運ニ相濟候旨、朝鮮江申渡し船之儀、中戾船ニて遣候。此中戾船與申候ハ、從在所朝鮮江船渡候而者、大形逗留仕日數相定たる體ニ御座候故、中ほと在所江罷歸候て、又參りたる者歸國仕時分ニ、右之船渡海仕候。其うちに罷歸しを中戾と申候。去々年右之送使船中戾仕候處、一件能御穿鑿ニ、渡海被相留候故、舊冬迄在所ニ罷立候付、右之使のせわたし候。其うへ中戾船にて無之、初而渡候送使遣候得は、拙子所勢も有之儀ニ御座候。殊此中戾船わたさす候へ者、先年のり渡候者、歸國不罷成候。彼是ニ付、中戾船可然與存候而、璘西堂相談仕差渡候事。
但此船さいけいせん(歲遣船)なり。

一 (右同) 第一船差渡候樣子ハ、其年之始に渡候船ニ而候故、第一船と申候。通用無別儀上ハ、送使差渡候樣ニと、自朝鮮度々申候。其上彼船わたらさる前は、其外之船不遣候先例ニ御座候。殊信使之義、申渡候書翰之文言も、拙子見合ニ申遣す體ニ御座候。其上從朝鮮存候は、一件對馬守理運與承候に、送使わたらす候儀、不審たて氣遣仕ニ付、まづ差渡候事。

一 (右同) 信使之儀申遣候使、口上別條無之書翰之趣にて申渡候。從朝鮮右之返事に申候ハ、今度信使差渡御禮可然時分之由承候。日本當上樣御位につかせられ候刻、信使差渡御禮申上候。自前々御一代に一度充、相渡候例儀ニ候。乍去先大君薨御以後、不相替別而御靜謐、殊道々之御治のことく承候。日本之御泰平は、朝鮮之長久與存知候。唯今信使差渡御禮可然與、對馬守見合之上は、連々誠信之道與存候間、任指圖差渡御禮可申上候。倂朝鮮之沙后御かくれ候付、國中いろ之內候間、如何とも存候得共、却而加樣之刻相渡候が、日本を從朝鮮大切ニ存、又は差急候儀國之きほにと可罷成與存知候。如何やうとも、對馬守むかひ次第と申候。又申候ハ、他國江之使者之儀ニ候得者、八九に於ハ彼是用意難成候間、其心得之樣ニ與申候。

一 (右同) 拙子出船以後ニ、特送使與申船差渡候樣ニ申付置候。書翰者、璘西堂被相調、又箱ニ璘西堂荷つきさせ申候。西堂御留守ニ召連候寄首座與申仁、拙子郞從共與留守中之儀は、同前ニ差引仕候樣ニ申付置候。右之特送使差渡候樣子は、信使之儀、拙子差圖次第可罷渡與之返事ニ御座候故、其段遂言上、時分之儀重而可申渡由申遣候。彌相違言之樣ニとのために御座候。殊彼船渡不申候得は、朝鮮釜山浦ニ侍一人も不罷居候。釜山浦あけ置申儀、是又見懸如何與存、差渡樣ニ申付置候事。

一 (右同) 從朝鮮さきさき豊前へ遣置候送使、此方江馳走可申與申候樣子ハ、豊前江送使遣候も、此方家郞役仕、內外共之儀取あつかひ申候ゆへ、拙子ニ對し送使遣置候。今豊前不罷居候とて、此送使馳走不申候へハ、拙子ニ對したる與申候しるし無之と存體ニ御座候。彼送使之義、拙子於同心は印判之字ハ、義成家臣とおうく可相渡由ニ御座候事。

一 (右同) 以酊庵送使之儀も、馳走可申與者存體ニ御座候共、彼寺之儀、住持不相定候故、左樣之儀いかやうとも、朝鮮より聢與おちつき不申候付、まつ此度ハ彼送使之儀、書翰ニも書載不仕由承候。

右は宛所も相見不申候。定而御老中江、被懸御目候哉。