起請文

今度 殿樣嶋中御下地之儀、柳川玄蕃頭ニ被仰付候。いろいろ御しんしゃく被申上候得共、せひせひ前々豊前守時之ふんニなにへん御賴被成候由、重而被仰下候付而、御ちやう忝あまりに、玄蕃頭御請ヶ申上候。就其柳川內ニ罷居候故、誠に似合不申ながら、此七右衛門貳迄　御前ニ免し被出、玄蕃頭ニ少も別儀無御座候とをり、竝諸事之儀被仰付候。さてさてみやうかなきしたい忝奉存候。誠憚多申上事ニ御座候得とも、古禮より以後御ための儀ハ、たとい御意をそむき候而成共、七右衛門儀ハ、可申上候間、きこしめしわけられ可被下候。若々わたくし成儀共申上候ハヽ、七右衛門てんめいの御事ニ御座候間、少も上へもうらみ申上間舗候。乍恐此上ハ、殿樣ニたいしたてまつりきやくしんの儀、存上申間敷候。
右之旨、以來相違いつわりニおいては、可承日本國中大小神祗、上ハほんてん大しやく·四大天王·五たうのミやうくわん、中にも當國うち神、八滿兩天當春日大明神·熊野之こんけん、其外諸神諸佛之御罰者也。仍狀如件。
　　　　元和三年五月日

松尾七右衛門
智保

　　　　平田左京殿
　　　　御連署左ニ記之
　　　　以上