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2010年7月の鬱陵島現地踏査時に鬱陵島石浦で12年間生活し、家の窓を独島が見えるように作った住民イ・ドクジュンさんが一人で見るにはもったいないような独島目撃談を話してくれた。11月頃に石浦から日の出を見ると、独島の後ろに太陽が浮上して美しい眺めが演出されたそうである。このような独島を背景にした日の出についてインターネットで検索してみると、2009年に鬱陵島から見た独島の日の出始点を提示[註 150]したものがあった。クリスマスと1月1日、鬱陵島の独島展望台に登ると、7時29分〜31分の間に独島付近からの日の出を見ることができると提示し、科学的な正確性は保証しないと伝えていた。
〈図 31〉2010年11月18日午前7時ごろ、海霧と低い雲によって独島は見えなかった。望遠鏡が向いている方向、竹嶼の右端と太陽の間に独島が隠れている。
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果たして11月に石浦から独島を見ると美しい日の出が見られるというのは事実だろうか?もしそれが事実なら、天気がよいと素晴らしい眺めに出会うこともできる。筆者は、この現象を鬱陵島石浦から見る独島の黄金の日の出「独島グローリー」と名付けた。
独島が最もきれいに見える 「独島グローリー」の日付を調べてみた。もちろん、その瞬間は非常に短いが、独島周辺に日の出が見える時期を合わせて「独島グローリー」としよう。

1) 鬱陵島石浦の太陽の位置


私たちが毎日見る太陽は、朝に東から出て南中高度に達した後、再び西に沈む。東から太陽が通過するこれらの空道は6月の夏至が最も長く、12月の冬至が最も短い〈図 32〉。
〈図 32〉太陽が毎日東から出て西に沈む空の道を点線で表示した。このような空の道は冬至に最も短く、夏至に最も長い。
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一日で太陽の位置が変わって太陽が通過する長さが変わるのは、地球が自転と公転をするために起こる現象である。毎日少しずつ変わっていく太陽が出る空の道を探してみよう。
太陽を観測するためには、太陽の正しい位置を知る必要がある。緯度と経度で地球上のある地域の位置を示すように、空でも赤緯(declination)と赤経(right ascension)で星の位置を表示する。つまり、赤緯と赤経は空での緯度と経度である。
地球の自転軸の方向はほぼ固定されており、この軸に垂直な赤道面(赤道面)もほぼ一定である。したがって、赤道面は観察者の位置に依存しない座標系の基準面である。これらの赤道面から測った太陽の各距離は地球自転の影響を受けないが、この角度がすなわち赤緯である。また、春分点(vernal equinoxまたはspring equinox)から反時計回りに測った角度を赤経とする。[註 151]太陽の位置を計算する方法は『太陽放射入門』 [註 152]から選択した。

①365日基準の日数(Day Number)計算
日は365日を基準として1月1日から12月31日まで1日ずつ加えた日数を計算する必要があり、1月1日は1日、2月1日は32日、12月31日365日(閏年の場合は366日)である。

② 日角(Day angle)
Г=2π×(日数-1)/365

③ 太陽の赤経(Solar right ascension)
赤経は360度の角度を24に分けて時間で示す。この赤経の基準点は春分点である。
w=15×[12-(時+分/60)]

④太陽の赤緯(Solar declination)
赤緯は、緯度と同様に天球の赤道を中心に角度で表示し、赤道北側は0度から90度まで、南側は0度から-90度まで示す。
δ=cos-1[(0.006918-0.399912cosГ+0.070257sinГ
-0.006758cos2Г+0.000907sin2Г
-0.002697cos3Г+0.00148sin3Г)]
しかし、このような太陽の位置(赤緯と赤経)を観測者の立場で最も自然に変えるためには、地平線面を基準面にして表現しなければならない。これらの座標系の基準面は、観測者を通り過ぎ、地球と接線をなす平面である。観測者のすぐ上にある点を天頂(zenith)といい、天頂を通る大円を垂直圈(verticals)という。赤緯と赤経のように、この座標系で太陽の位置を説明できる二座標は、高度と方位角である。高度(altitude)は、垂直圏に沿って地平線から天体までを測った角度である。方位角(azimuth)は、ある固定方向から測った天体の垂直圏の各距離である。この方位角は、状況に応じて別の固定方向が使用される。方位角と高度で表示された太陽の位置は、同じ時刻でも観測者の位置に応じて異なる場合がある。
観測者の位置を石浦[註 153]の緯度に代入して石浦での太陽高度と方位角を計算する必要がある。

⑤鬱陵島石浦の緯度(Latitude)
Δ=37° 32′.116

〈表 13〉365日太陽の南中高度(春分、夏至、秋分、冬至の日付は2011年を基準とする)


1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
129.434.344.656.367.374.375.670.761.449.638.630.8
229.534.645.056.767.674.475.670.461.049.238.330.6
329.634.945.357.167.974.675.570.260.748.838.030.5
429.735.145.757.568.274.775.469.960.348.437.630.3
529.835.446.157.968.574.875.369.759.948.037.330.2
629.935.746.558.268.874.975.269.459.647.737.030.1
730.036.046.958.669.175.075.269.159.247.336.729.9
830.136.347.359.069.375.175.068.858.846.936.429.8
930.336.647.759.469.675.274.968.658.546.536.129.7
1030.436.948.159.769.975.374.868.358.146.135.829.6
1130.537.248.560.170.175.474.768.057.745.835.529.5
1230.737.548.860.570.475.574.667.757.345.435.229.4
1330.937.949.260.970.675.674.467.457.045.035.029.4
1431.038.249.661.270.975.674.367.156.644.634.729.3
1531.238.550.061.671.175.774.166.856.244.234.429.2
1631.438.850.461.971.475.874.066.555.843.934.229.2
1731.639.250.862.371.675.873.866.155.443.533.929.1
1831.839.551.262.771.875.873.665.855.043.133.729.1
1932.039.951.663.072.175.973.565.554.742.833.429.1
2032.240.252.063.472.375.973.365.254.342.433.229.1
2132.440.652.4
春分
63.772.575.973.164.853.942.032.929.0
2232.640.952.864.072.775.9
夏至
72.964.553.541.732.729.0
冬至
2332.841.353.264.472.975.972.764.253.1
秋分
41.332.529.0
2433.141.653.664.773.175.972.563.852.741.032.329.0
2533.342.054.065.173.375.972.363.552.340.632.129.1
2633.542.354.465.473.575.972.163.251.940.331.929.1
2733.842.754.865.773.675.971.962.851.539.931.729.1
2834.043.155.266.073.875.871.662.551.239.631.529.2
2934.3
55.566.474.075.871.462.150.839.331.329.2
3034.6
55.966.774.175.871.261.850.438.931.129.3
3134.9
56.3
74.3
70.961.4
38.6
29.3

⑥ 太陽高度(Altitude)
高さは地平面に基づいて計算した角度である。
α=sin-1 (sinδsinΔ+cosδcosΔcosω)

⑦方位角Azimuth)
真南から東に反時計回りの水平角度である。
ψ=cos-1 (sinαsinΔ-sinδ)/(cos α cosΔ)
日中太陽が最も高いときの高度を南中高度(meridian altitude)というが、時々刻々の太陽の位置のうち石浦から見える365日の太陽の南中高度を計算してみた。
〈図 33〉高度と方位角で示した太陽の通り道(鬱陵島石浦N 37°32 ".116基準)
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前の式で計算した石浦での太陽の通り道を示した。1月から12月まで太陽は6月に最も長い道、12月に最も短い道に沿って通ることがわかる(〈図 33〉で、それぞれオレンジ色と紫色で示している)。赤線は筆者が2010年7月29日に鬱陵島を訪問したときの太陽の道であり、日中太陽を撮影した写真で太陽が通過した道を示した。
石浦から日の出を見ると、2kmほど離れた竹嶼の左側に太陽がよく見え、南中前には竹嶼の上で高度が50°になり「古道トレッキングコース[註 154] 」の森の中で太陽が竹嶼と共に現れた。11月になると太陽は竹嶼の右側から出て、石浦から約90km離れた独島周辺で日の出が見える。

2) 鬱陵島石浦から独島までの船上


〈図 34〉石浦住民イ・ドクジュンさん(左から3番目)と撮った写真
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石浦住民イ・ドクジュンさんの証言に従って、鬱陵島の石浦から独島までの線上に太陽が位置する日を計算してみた。
「独島グローリー」が石浦から太陽が通る位置が緯度何度になる11月のいつ頃であり、「独島グローリー」を見られる期間はどのくらいなのか?太陽が冬至を過ぎてから再北上し、翌年1〜2月頃にも同じ線上に一直線に並ぶときがあるので、天気がよければ1〜2月にも 「独島グローリー」を見ることができる。11月と1〜2月の鬱陵島 - 独島 - 太陽が一直線になる黄金線上の日の出の期間を調べた。
前節での高度と方位角計算方法に基づいて石浦で高度が0になる時(日の出時)の太陽の位置を 〈図 35〉と〈図 36〉に示す。石浦と独島の間の方位角は110°33"37'.1519(真北0°基準)[註 155]であり、これを11月と1月の日の出時の太陽の位置と共に真南を基準に示した。そして、独島と太陽の位置が一致する時を見つけ出した。「独島グローリー」は、11月と1〜2月、そのうち独島のすぐ後ろに日が昇る黄金線上の日の出は11月6〜10日、2月1〜5日の日の出時に見ることができると予想される。

〈図 35〉11月日の出時の太陽の位置と日付。「独島グローリー」は、11月6日から10日の間の日の出時刻に見ることができる。
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〈図 36〉1月と2月の日の出時の太陽の位置と日付。1月中旬から2月初めまで図に示した。正確には「独島グローリー」は、2月1日から2月5日の間の日の出時刻に見ることができる。
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独島グローリーを見るために2010年11月18日に石浦村を再訪したが、低い雲のために水平線から昇る太陽を見ることができず、低い雲上で一部遮られた太陽を見ることができた。海霧が濃く立ち込めており、独島を見ることができなかった。海霧と低い雲がなければ、竹嶼の右側、太陽の左側に独島が太陽と一緒に現れ 「独島グローリー」を見ることができただろう。
〈図 37〉 鬱陵島石浦から竹嶼(右)と太陽(左)の間に独島が見える。 (撮影:ユク・ミョングン)
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毎年微変わる太陽の位置、大気の屈折効果そして独島が見える範囲(独島全体の面積のうち、独島(西の島)の頂上と石浦との間の方位角が計算)を考慮すると、黄金線上の日の出日の一日で二日ほど余裕を置くべきである。この短い期間の気象条件が適切であれば、独島グローリー、金線上の日の出の素晴らしい光景を見ることができる。
独島が鬱陵島の至るところで見えるのは当然であり、冷たくきれいな北東地域からの空気が流入し、大気 - 海洋条件によって海霧が発生していないときに独島はよく見える。
毎年冬至前後11月と2月の初旬、独島がよく見える朝には独島付近で太陽が昇り、独島と太陽を一目で見ることができるすばらしい「独島グローリー」と、独島のすぐ後ろに太陽が昇って朝日の中でさらに鮮明な独島を見ることができる「黄金線上の日の出」を鬱陵島から見ることができることを確認した。
独島の後光を求めて、鬱陵島への素敵な旅に出てみてはどうだろう!

 
[註 150]
「 カッシュインドン夢見ることは生きる意味:日本の独島執着、鬱陵島から独島の日の出が見られる」(200912.25),   参照。
[註 151]
ミン·ヨンギ他(1991)、『基本天文学』。ヒョンソル出版社。9〜24頁。
[註 152]
Muhammad Iqbal(1983), An Introduction to Solar Radiation, ontario:Academic Press。
[註 153]
鬱陵島北東端に位置する村の名前(行政区域名は北面天府里)。ここで使用された緯度は石浦村の中で独島を最もきれいに見ることができる場所で、望遠鏡と亭子がある「石浦村休憩所」の位置を使用した。
[註 154]
鬱陵郡北面石浦村と鬱陵邑内水田展望台の間をつなぐ森の中の遊歩道である。
[註 155]
誠信女子大学校地理学科チョン・ジェジュン教授が鬱陵島石浦から独島の西島頂上の間の方位角を求めたものである。この計算方法によると、石浦から独島西島頂上までの距離は約90.8kmであり、方位角は110度33分37.1519秒である。
[註 150]
「 カッシュインドン夢見ることは生きる意味:日本の独島執着、鬱陵島から独島の日の出が見られる」(200912.25),   参照。
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[註 151]
ミン·ヨンギ他(1991)、『基本天文学』。ヒョンソル出版社。9〜24頁。
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[註 152]
Muhammad Iqbal(1983), An Introduction to Solar Radiation, ontario:Academic Press。
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[註 153]
鬱陵島北東端に位置する村の名前(行政区域名は北面天府里)。ここで使用された緯度は石浦村の中で独島を最もきれいに見ることができる場所で、望遠鏡と亭子がある「石浦村休憩所」の位置を使用した。
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[註 154]
鬱陵郡北面石浦村と鬱陵邑内水田展望台の間をつなぐ森の中の遊歩道である。
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[註 155]
誠信女子大学校地理学科チョン・ジェジュン教授が鬱陵島石浦から独島の西島頂上の間の方位角を求めたものである。この計算方法によると、石浦から独島西島頂上までの距離は約90.8kmであり、方位角は110度33分37.1519秒である。
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