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鬱陵島から87.4km離れた独島を見るには可視距離が良くなければならない。雨、雪、霧、黄砂、大気汚染物質が空気中にあるときは、太陽の光が目に直接入って来ず、目の前がぼやけてしまう。これは、風と空気の上下移動、すなわち空気の混合が水滴や雲滴、非常に小さな固体粒子の動きや拡散に影響を与えるからである。このため、可視距離の長短に影響を与える気象現象を調べ、鬱陵島に現れた気象現象の特徴を確認した。また、独島が見えた日に共通する気象の特徴を分析し、独島がよく見える気象条件を調べてみた。

1. 鬱陵島から独島が見える:客観的証拠

「鬱陵島から独島が見える 」のは、長い間生活してきた住民の証言と鬱陵島の至るところで独島が見える写真が撮影されたことによって既に証明された事実である。1年半の間(2008年7月から2009年12月まで)、独島を撮影した写真や記録を見ると、独島が見えなかった月は全くなかった。少なくとも月に平均3〜4回程度は独島が見えたということは、鬱陵島から独島が見えることを確実に証明している。
また鬱陵島では86m以上の高さに登ると独島が見られるということが、二つの島の間の距離とピタゴラスの定理、光の屈折現象を考慮して数学的にも証明された。[註 145]計算では、鬱陵島で高い高度に上がるほど独島をよりよく見ることができるという結果が出たが、実際には高いところは雲が立ち込めていることが多く、むしろ高いところではなく斜面でよく見ることができる。鬱陵島の最高峰である984mの聖人峰から独島を見ようとした128年前の李奎遠[註 146]は「四方を眺めると、海と空が遥かにあるだけだ。他に一つの島もなく……」と記した。これは聖人峰の中腹から頂上まで雲におおわれている日が多いからである。したがって、聖人峯にかかる雲の下の中腹辺りが実際に独島をよく見ることができる場所となる。望郷峰(317m)にある独島展望台が、独島のよく見える高さである。この高さには、住民たちもたくさん住んでいるので、鬱陵島から独島が見えるのは当然の事実という理由となる。

2. 雨と雪:夏と冬の視程が悪い理由


1) 現地住民の経験談


鬱陵島から独島を見た人はどれくらいいるか? 「鬱陵島から独島が見える 」という鬱陵島住民の証言を聞いたが、その中で特異な経験談があった。庭先から独島が見えるところに住んでいるグォン・ギョンスンさんと、独島が見える日の調査のために過去1年半の間、毎日日誌を記録してカメラを持って鬱陵島の至るところに通っていたチェ・ヒチャンさん、鬱陵島石浦村に住んでいるイ・ドクジュンさんによると、独島が見える前後に雨や雪が必ず降ったというのである。長い間鬱陵島で生活している住民の証言だったので、その理由が非常に気になった。
〈図 15〉グォン・ギョンスンさん(左)が自宅の庭先で独島が見える方向を指している。
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〈図 16〉電線越しに水平線にある独島を毎日見て写真を撮ったチェ・ヒチャンさん(右写真中央)と撮った写真
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2) 高・低気圧の移動に伴う雨と雪


鬱陵島と独島は地理的条件からみると東海上に位置するため、比較的気圧の流れが大きく変わることはない。鬱陵島から87.4kmの直線距離に位置する独島を見るには、可視距離が良くなければならず、可視距離が良いのは鬱陵島の空がよく晴れているときである。
〈図 17〉韓国に影響を与える四つの高気圧
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独島が見える時間の前後に雨や雪が降るという証言を簡単に解釈すると、晴れた後に雨が降ったり、雨が降る前に晴れているということである。この解釈によると、優先的に考慮しなければならないのが気圧の流れである。よく晴れているときなら、高気圧の影響圏に属している場合であるが、韓国は偏西風の影響を受けるため気圧の流れが東進し、高気圧の後には低気圧が来て、低気圧の後には高気圧が来る。このため中緯度に位置する韓国の気圧の流れを考慮すると、住民の証言が科学的な事実となり得る。
まず韓国の気圧の流れを詳しくみると、韓国はシベリア高気圧、北太平洋高気圧、オホーツク海高気圧、一般的に揚子江気団として知られている移動性高気圧の影響を受け、高気圧の勢力変化によって季節ごとに異なる気象現象が起こる。
〈図 18〉春(2009. 3. 5)と秋(2009. 9. 18)に見える独島
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春と秋は移動性高気圧と低気圧の影響を受ける季節である。春は、冬の間シベリア高気圧の勢力拡大によって南下して太平洋付近で吹いていた偏西風が、シベリア高気圧が弱まって北上し、中国大陸で発生した低気圧と高気圧が偏西風に沿って移動して韓国に影響を及ぼす。秋もまた夏に北太平洋高気圧の大きな勢力によって北上していた偏西風が、北太平洋高気圧が弱くなった秋に南下し、韓国への偏西風の影響が大きくなる。このため、中国南東部で発生する高気圧や低気圧が東進して韓国に影響を及ぼすことになる。この時、低気圧と高気圧が一緒に発生して移動してくる場合が大部分であるが、この現象によって高気圧が通過した後に低気圧が来たり、あるいは低気圧が過ぎた後に高気圧の影響を受けることで独島が見える日の前後に雨が降る現象を一部裏付けることができる。
〈図 19〉独島が見えるグォン・ギョンスン、ジョン・ボングォンさんの家の庭先で、2010年7月29日に撮影した。海霧がかかり、昼でも水平線がはっきりしていないことが確認できる。
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夏には北太平洋高気圧とオホーツク海高気圧の影響を受ける。オホーツク海高気圧は6〜7月に韓国に影響を与えながら梅雨を作り出し、高温多湿の北太平洋高気圧は韓国に水蒸気を絶えず提供して鬱陵島に海霧が多く発生するため、晴れの日が多くても独島がよく見えない。鬱陵島気象台で働いていた職員の証言によると、夏の朝に起きて鬱陵島の周囲を見ると、風呂の蒸気のように白く海霧がかかっていたという。独島が見える気象条件分析のために鬱陵島踏査を行った7月の終わりにも海霧が発生し、水平線がぼやけて隠れていた〈図 19〉。海霧とは海にかかる霧のことであるが、気象学的には暖かい空気が冷たい海面に移動する時、海面付近の空気が冷却されて生じる霧を指す。韓国では主に4〜10月に現れ、7月に最も多く発生し、京畿湾一帯と南海中部海域及び鬱陵島近海で多く発生する。このため夏には鬱陵島に海霧が頻繁に発生し、夕立のような降水があった後に大気中の水蒸気がほとんど消えた後、独島を見ることができると考えられる。これも降水後、独島が見えたことに一脈相通ずるところがある。
〈図 20〉肉眼では冬(2009. 1. 29)に独島が見えたが、写真で撮影すると、水平線がぼやけて見えて独島がかすんでいる。
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冬にはシベリア高気圧の拡張と弱体化によって天気が左右される。寒冷乾燥したシベリア高気圧が東海を通りながら水蒸気を吸収するため、東海付近に雪を降らす。冬も夏と同じように雪が降った後、独島が見えると考えられる。
季節に関係なく、雨が降った後は大気中の水蒸気はもちろん、大気中に浮遊していたダスト粒子も降水の洗浄効果で共に地表に落ちる。光の散乱や吸収を起こして視界を妨げていた水蒸気やダスト粒子が消えた後のため、視野が明るくなって独島が比較的よく見えるのは当然である。そして雨が降る前に独島が見えたこと、すなわち独島が見えた後に雨が降ったのは、気圧の流れ上、高気圧後に移動してきた低気圧によるものと推定できる。

3) 鬱陵島の荒れ模様の天気:2〜3日に1回の割合で雨や雪


前節で説明したように、独島が見えた前後に雨が降ったという証言に対して様々な理由を求めることができるが、科学的・論理的に事実であると明確に判断するのは困難であるため、いくつかの視点から独島が見えた時間前後の降水現象を分析してみた。気圧の流れで完全に説明できない部分を鬱陵島降水現象の特徴と関連付けて分析した。中・高等学校の地理の時間にウデギ(雪の被害を減らすための外壁)に囲まれた家の写真と一緒に学んだ 「鬱陵島は年間降水量が均等で冬の降雪量が多い」という事実を私たちは既に知っている。しかし、鬱陵島に雨や雪が降る日が多いということは、あまり知られていない。もちろん降水量は年間を通じて均等であると推定できるが、より正確なデータが必要なため、気象庁で調査した気象データを参考にした。
〈図 21〉全国0.1mm以上の年降水日数(気象庁、2001)。色が濃くなるほど1年のうち0.1mm以上の雨が降った日が多く、鬱陵島と大関嶺で特に雨が多いのがわかる。
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気象データ分析でも、鬱陵島は天気がよくない日が多かった。気象データは、30年以上のデータを分析したもので、統計的に意味があると判断される。全国で年間0.1mm以上雨の降った日数は、次の図のとおりである。[註 147]0.1mm以上の雨または雪の降った日の回数が示された気候図からわかるように、首都圏と内陸部で雨や雪の降った日が1年のうち90〜110回、近隣の慶尚北道地域が80〜100回であるのに対し、鬱陵島は140〜160回に達していることが確認できる。
〈図 22〉2001〜2009年、鬱陵島で年間0.1mm以上の降水のあった日数(365日中、135〜166日に達している。)
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鬱陵島で最近雨や雪が0.1mm以上降った日数を確認すると、2001〜2009年の期間中すべて135〜166日の間で、頻繁に降水があった。この結果から推測すると、2〜3日に1度の割合で雨や雪が降ると言っても過言ではない。
また内陸部や嶺南地域では、通常1年の降水量は夏の梅雨の時期、春先、秋口に集中しているが、鬱陵島はどうなのかを調べるために年間の雪が降った日の回数を調べてみた。
降水が夏に集中してある他の地域に比べて、鬱陵島は冬でも降水が頻繁にあることが年間降雪日数を見るとわかる。
1年のうち雪が降る可能性がある月は1月、2月、11月、12月くらいである。その日数も120〜121日に過ぎないが、鬱陵島の雪の日数は年間50〜60回で冬も二日に一度の確率で雪が降る。
〈図 23〉年降雪日数を示した図(気象庁、2001)。色が濃くなるほど1年のうちで雪が降る日が多く、大関嶺と鬱陵島で雪が頻繁に降ることがわかる。
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4) 独島が見えた日の前後に、本当に雨や雪が降ったのだろうか?


独島可視日数調査事業の報告書によると、2008年7月1日から2009年12月31日までの期間中に56日独島が見えたことが分かった。高・低気圧の気圧の流れに影響を受けた結果かどうか確認したかったが、季節ごとに差が出る気圧の影響と関連付けて分析するには1年6ヶ月程度の期間では意味がないと判断した。したがって、報告書に記載された気象現象を中心にして独島が見えた前後に雨や雪が降った現象の正確度について調査した。
56事例のうち、独島が見えた日を基準に1〜3日前に雨や雪が降ったケース、見えた日を基準に1〜3日後に雨や雪が降ったケース、見えた日を基準に1〜3日前後ともに雨や雪が降ったケース、いずれも雨が降っていないケース、見えた当日雨や雪が降ったケースなど、5つのケースに分類したところ、次の〈表 11〉のような結果が出た。

〈表 11〉独島が見えた56日のうち鬱陵島でその前後3日以内に降水があったかどうかを示す表

見えた日を基準に1〜3日前に雨や雪が降ったケース
見えた日を基準に1〜3日後に雨や雪が降ったケース
前後3日以内ともに雨や雪が降ったケース
前後3日以内に雨や雪が降らなかったケース
独島が見えた日に雨や雪が降ったケース
17回
12回
10回
15回
2回
独島が見えた合計回数56回
前後3日以内に雨や雪が降ったケースは合計39回で約70%を占めており、独島が見られた日に雨や雪が降ったケースを含めると41回で約73%となった。
雨が降ると一般的に可視距離が減り、傘の外の風景がぼやけて見える。落ちる雨のために視野がよく確保されないせいもあるが、一般的に雨が降ると大気中に水蒸気が多く分布する。このため水蒸気によって光が散乱·吸収されて、遠くの物がぼやけて見えるようになる。このような理由から、雨の降る中で独島が見えたことは非常に興味深い現象である。したがって、雨の降った日当日に独島が見えた日についてより詳細に調査した。
可視日数調査報告書で雨の降った当日に独島が見えた時刻は、それぞれ2008年8月28日午前10時、2009年9月28日午後3時であった。2008年8月28日には午前8時に、2009年9月28日には午前10時の雨がやんだ。
雨がやんだ後、可視距離が増えて独島が見えたのかどうかと、可視距離と独島が見えることにどのような関係があるかを、鬱陵島気象台において毎時間人間の肉眼で観測した可視距離データで確認した。
雨の降った時間には可視距離が他の時間に比べて良くなかった。2008年8月28日は日降水量が0.5mmと非常に弱い雨が降り、2009年9月28日には日降水量59mmと比較的強い雨が降った。弱い雨の降った日は可視距離が12kmであり、比較的強い雨の降った時は可視距離が1.5kmまで短くなった。雨の強さが可視距離に影響を与えるということである。これは、雨が激しく降りしきる時は、雨粒のためすぐ目の前もよく見えず、霧雨が降る時は遠くの物体がかすかに見えると生活の中で実感できる。
雨がやんだ後の可視距離を確認すると、最初の図で雨がやんだ午前8時以降、徐々に可視距離が良くなり始めて、独島を見た時間(矢印)は可視距離が20kmではるか遠くまで見えるようになった。二番目の図も、雨がやんだ午前10時に可視距離は直前の観測時間である9時の6kmより倍に増えた12kmとなった。雨が降っているときは遠くまで見るのは難しく、雨がやんだ後に可視距離が良くなった。したがって、雨と可視距離は密接な関連があることがわかる。
雨の降った当日に独島が見えたケースはどちらも天気が晴れた後の大気が清浄なとき、視野が確保されて独島が見えたことが確認された。厳密には、この二つの事例は雨の降った後に独島を見たケースに含めるべきである。
〈図 24〉雨の降った日、鬱陵島道東から独島を撮影した写真である。2008年8月28日(上)、2009年9月28日(下)
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〈図 25〉雨が降っても、独島が見えた二日の間の可視距離変化を示している。矢印で示したのが前の写真を撮影した時刻である。
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事例は雨の降った後に独島を見たケースに含めるべきである。56回の事例は、統計的に意味のあるサンプル数ではあるが、事例期間が1年6ヶ月と短かったため、継続的に調査して事例の数を増やせば、季節ごとの特徴を含めたより深い分析が可能となり、住民の情報提供の信頼性も高まるものと期待している。
約2〜2.5日に一度雨や雪が降ることが示された鬱陵島では、雨の降る日に独島がよく見えず、その間の雨や雪が降らない晴れた日に独島がよく見えたと解釈できる。「独島の見えた日の前後3日以内には雨が降る」という住民の話は73%以上の確率で正しいといえる。

3. 霧と海霧:水平線を曇らせる理由

〈図 26〉全国年間霧観測日数(気象庁、2001)。鬱陵島は、1年のうち45日間霧が発生する。
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可視距離の悪化と最も密接に関連している気象現象は「霧」である。毎時間変わる可視距離は、霧と海霧の影響を受けている。鬱陵島の年間霧発生日数は365日のうち、約45日(鬱陵島気象台観測)で8分の1に達している。霧は鬱陵島での水平可視距離を曇らせるため、鬱陵島から肉眼で独島を見ることができる日が少なくなる。
〈図 27〉鬱陵島で薄霧が発生した日の数を月別に示している。
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「霧」よりさらに包括的な水蒸気による可視距離悪化現象は、薄い霧すなわち 「薄霧」である。霧とは水平可視距離1km以下の場合を指し、薄霧は高い相対湿度のために水蒸気によって可視距離が1km以上10km以下となる現象である。鬱陵島気象台で観測された薄霧発生日数は次の通りである。
薄霧は5月から8月まで、1ヶ月に15日以上発生した。薄霧になると水平可視距離が10km以下になり、独島がよく見えなくなる。このため、春の終わりから夏まで独島を見るのは難しい。鬱陵島から独島がよく見えるためには、鬱陵島からの水平可視距離も重要だが、独島の見える地平線上の条件も重要である。独島が見えた写真でも独島が鮮明に見える写真は、水平線がはっきりとよく現れていて、独島がかすれて見えるときは水平線もぼやけていた。
〈図 28〉筆者が1982年8月に鬱陵島臥達里から竹嶼を眺めながら撮影した水平線と日の出。水平線がぼやけており、独島は見えなかった。水平線がはっきりした天気であれば、竹嶼の右側に独島が見えたはずである。
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〈図 29〉鬱陵島で海霧が発生した日数を月別に示したものである。(チェ・ヒチャンさん観測)
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鬱陵島の南東にある独島は地平線上の小さな三角点である。この小さな三角点を見るには水平線がはっきりしていなければならない。海上に霧(海霧)がかかっているときは独島が隠れて見えず、水平線がぼやけて海と空の境界線が不明瞭な場合は見られないのである。このように独島が見える側の可視距離をぼやけさせる海霧は[註 148]晩春(4月)から夏(7月)までの1ヶ月のうち19日以上見られ、発生の頻度が高いといえる。これは、晩春から夏に頻繁に発生する薄霧発生頻度と類似しているだけでなく、鬱陵島の海霧発生の他の研究の結果[註 149]と同じである。鬱陵島において晩春から夏は、海霧の発生が頻繁で独島が見える側の可視距離が悪いので、独島を見るのは容易ではない。
このように独島がが見える側の可視距離をぼやけさせる海霧は16)晩春(4月)から夏(7月)
まで1ヶ月のうち19日以上見られ、発生の頻度が高いといえる。これは、晩春から夏に頻繁に発生する薄霧発生頻度と類似しているだけでなく、鬱陵島の海霧発生の他の研究の結果17)と同じである。鬱陵島において晩春から夏は、海霧の発生が頻繁で独島が見える側の可視距離が悪いので、独島を見るのは容易ではない。

4.風と気圧:独島を見せる風

〈図 30〉独島が2009年に見えた日(左)と2009年9月に見えた日(右)の風が吹いてくる方向と大きさ(m / s)
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〈表 12〉独島が撮られた日の衛星画像、天気図と可視距離
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鬱陵島に住むチェ・ヒチャンさんは、2009年に撮影した独島の写真を詳しく調べた。そのうちの7枚は9月(19.4%)に撮影したものであった(1日、4日、5日、9日、18日、20日、28日)。この時の風の方向は、主に北風、北東風であった。
2009年に独島が見えた日のうち、東海上に北風や北東風が吹いていたのは、独島が見えた日36日のうち31日である。独島が見えるときに、鬱陵島の北東と東の相対的に冷たくきれいな空気が移流したのである。これは独島が見える場合を「風日靑明」(86%)と記録したものとよく符合し、先祖の観察力に改めて驚かされる。
独島が見えた56日について地上天気図を利用して、気圧分布を共に分析した。分析の結果、鬱陵島と独島が高気圧の影響圏に入ったケースは86%以上であった。また、その時刻のMTSAT-1Rの可視画像も共に分析したが、東海中部海上に白色で現れる雲や水蒸気がほとんどなく、独島と鬱陵島がよく見えることを確認した。このため鬱陵島と独島がある東海中部に高気圧が位置すると、清明な視野で独島がよく見える。
20km以下の可視距離でも高気圧が位置すると独島が見える日もあり、残りの15%にあたる高気圧でないときでも独島が見える日があったことは、独島観測において複数の要素を参考にしなければならないことを示している。

 
[註 145]
チョン・テマン(2008)、「独島問題の数学的アプローチ 」、『独島研究 』、166〜200頁。
[註 146]
鬱陵郡史編纂委員会(2007)、「李奎遠、鬱陵島検察日記」、『鬱陵郡史』、1379頁。
[註 147]
「韓国気候図」(気象庁、2001)は、世界気象機構の気候図作成基準に基づいて、1971年から2000年まで30年間の気候平年値をもとに作成した。この気候図は気象庁傘下の気象台と観測所で観測された気象データを平年統計処理したものである。
[註 148]
海霧データは東北亜歴史財団(2008、2009)、『独島可視日数調査事業報告書』参照。
[註 149]
ソ・ジャンウォン、オ・ヒジン、アン・ジュンベ、ユン・ヨンフン(2003)、「東海の海霧予測システム研究」、 『韓国海洋学会誌』、121〜131頁。
[註 145]
チョン・テマン(2008)、「独島問題の数学的アプローチ 」、『独島研究 』、166〜200頁。
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[註 146]
鬱陵郡史編纂委員会(2007)、「李奎遠、鬱陵島検察日記」、『鬱陵郡史』、1379頁。
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[註 147]
「韓国気候図」(気象庁、2001)は、世界気象機構の気候図作成基準に基づいて、1971年から2000年まで30年間の気候平年値をもとに作成した。この気候図は気象庁傘下の気象台と観測所で観測された気象データを平年統計処理したものである。
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[註 148]
海霧データは東北亜歴史財団(2008、2009)、『独島可視日数調査事業報告書』参照。
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[註 149]
ソ・ジャンウォン、オ・ヒジン、アン・ジュンベ、ユン・ヨンフン(2003)、「東海の海霧予測システム研究」、 『韓国海洋学会誌』、121〜131頁。
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