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日本の明治産業遺産

歪曲される現場と隠蔽された真実

ユネスコは世界遺産条約に基づき人類が残した「負の遺産」も世界遺産に指定して保存してきました。最も代表的な例は、ナチスドイツがユダヤ人を無残に虐殺したポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウです。それ以外にもアフリカ奴隷貿易の中心地であったセネガルのゴレ島、計67回の核実験がおこなわれたビキニ環礁核実験場などがあります。
1979年世界遺産として指定されたアウシュビッツ・ビルケナウはナチスドイツがつくった最も大きなユダヤ人収容施設です。人種虐殺と強制労働を結合させたところとして、監視塔、有刺鉄線、汽車のプラットホーム、収容棟、絞首台、ガス室、トイレ跡などによって構成された収容所の遺跡です。ここでナチスにより行われた反ユダヤ主義的、人種差別的な政策は110万人を超える命を奪う大量虐殺となり、被害者の90%はユダヤ人でした。
アウシュビッツ・ビルケナウという遺産は、全人類にホロコーストと人種差別政策、これと関連したナチスの組織的な殺人という蛮行を記憶するための場所です。また、極端なイデオロギーと人間の尊厳の否定がもたらす危険性、そしてその悲劇的な結果を警告する場所でもあります。ポーランドは2007年に「アウシュビッツ強制収容所」という登録遺産の名称を「アウシュビッツ・ビルケナウ ナチスドイツ強制・集団虐殺収容所(1940―1945)」に変更しました。
このような世界遺産での「負の歴史」の展示は、未来の世代がこれまでの歴史を考え、その過ちを繰り返さないための教育の場となっています。そこは人類にとって意義の深い場所なのです。
日本の産業遺産展示でも、各地の世界遺産での「負の歴史」の展示のように、「日本の産業遺産には起業家や技術者だけでなく、数多くの労働者の血と汗の歴史があった」、「相次ぐ侵略戦争と植民地支配と共に産業化がすすみ、戦時には朝鮮人・中国人・連合軍捕虜の強制労働があった」と説明し、犠牲者をしっかり記憶し、そこから教訓を得ようとすべきです。そうすることで、世界遺産としての普遍的価値が高まり、国際的な理解が深まります。
アウシュビッツ・ビルケナウ収容所1(ユネスコ韓国委員会提供)
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アウシュビッツ・ビルケナウ収容所2(ユネスコ韓国委員会提供)
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