- 高句麗と渤海
- 江西大墓
| Title | 青竜 | ||
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青竜
江西大墓の東壁に描かれた青竜の壁画である。竜は先史時代から古代人に最も愛され、かつまた崇められた神話上の動物で、東の方位の象徴であると同時に守護神でもある。その姿は想像上の動物であるため「鹿の角、らくだの頭、鬼の目、蛇の首、うわばみの腹、魚の鱗、鷹の爪、虎の足、牛の耳」という9種類の動物の特徴を合成して作られたという。こういった複雑な組み合わせは、他でもない竜の神性そのものを強調するためのものだと解釈することができる。
江西大墓の青竜は、全体において華やかで躍動感あふれる姿で描かれている。吠え猛るかのように大きく開いた口から強烈に吐き出されている赤い色の気は、霊獣である青竜の威厳をよく表している。S字形の首のラインと胴体部分には、青、緑、赤で交互に彩色を施し、その上に黒の線で網目模様の鱗を描くことで神秘的で華やかな竜の姿を表現した。古代の文献の中では竜のことを鱗を持つ動物の中で最高の存在と表現しているが、まさにその内容にふさわしい威風堂々たる姿といえよう。
胸の両側に赤い色で描かれた火炎の形の文様は翼を表現したもので、首の後ろに付いている『尺木（竜が昇天する際に必ず必要な道具で、竜の首の後と仙骨に付いている博山もしくは宝珠の形を示す用語)』と共に竜が昇天するために使われる。今にも飛び上がるかのように前足を持ち上げた姿勢から、進取的で活達な高句麗人の気概が感じられる。