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日本の明治産業遺産

歪曲される現場と隠蔽された真実

「日本の明治産業遺産、歪曲される現場と隠蔽された真実」は、2015年7月、「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録された施設で隠蔽されている歴史を伝えるためにつくられた。
このページの内容は、日韓市民による世界遺産ガイドブック『「明治日本の産業革命遺産」と強制労働』(2017年)などに基づき、韓国の民族問題研究所と日本の強制動員真相究明ネットワークが共同で作成した。
今後、「明治日本の産業革命遺産」の問題点と強制動員・強制労働の歴史的事実を明らかにする資料を共有できるよう持続的にアップロードしていく予定である。


写真資料提供:強制動員真相究明ネットワーク・国立日帝強制動員歴史館・東北亜歴史財団・民族問題研究所
 

1-1-0 「守られない約束」 [Video]

Unfulfilled Promises

‐タイトル:守られない約束(Unfulfilled promises)
‐収録時間:4分
‐主なメッセージ:
「明治日本の産業革命遺産(the Sites of the Japan's Meiji Industrial Revolution)」が世界遺産に登録された際に日本が約束した措置の履行は、2つの「保全状況報告書」や遺産の現場でいまだに見ることができない。「明治日本の産業革命遺産」の登録は、日本が約束を履行するだろうとみなす国際社会の信頼をもとになされたものであり、日本はこの信頼に対して誠実に答えるべきである。
>登録当時、日本政府は後続措置として、1940年代に多くの朝鮮人などが本人の意思に反して動員され、厳しい条件の下で労働を強いられた事実について理解できる措置を講じ、インフォメーションセンターの設立など犠牲者を記憶にとどめるための措置をとることを約束しました。 日本政府は、2019年度(2019年4月~2020年3月)に、東京に産業遺産情報センターを設立する計画であると明かしました。ユネスコ韓国委員会は、そのセンターの開館にあたり、日本政府が約束した措置を誠実に履行するよう促しています。

1-1-1 世界遺産になった日本の近代産業施設

2015年7月5日、第39回ユネスコ世界遺産委員会で、端島炭鉱(軍艦島)を含む日本の近代産業施設が世界遺産に登録されました。韓国と中国、オランダ、アメリカなど、関連国家の被害者たちが強制動員の歴史を無視していると登録に反対したにも関わらず、結局、世界遺産に登録されました。その際、日本政府の代表は、強制動員・強制労働の歴史的事実を理解できる措置を講じると約束しました。当時、世界遺産委員会は決議文を通して、「各サイトの歴史全体について理解できる説明戦略(interpretive strategy)を立てること」と特別に勧告しました。
登録された日本の産業遺産は8県、11市にまたがる23の施設です。主に九州と山口県に集中しており、対象時期は1850年代から1910年までです。日本はこれらの施設を西洋との技術交流を通じて非西洋国家で初めて産業化を成し遂げた遺産であると強調して世界遺産の登録に成功しました。
· 山口県萩(元長州藩)の産業遺産
萩反射炉(大砲建造用)、恵比寿ヶ鼻造船所跡、大板山たたら製鉄遺跡(船用部材)、萩城下町、松下村塾(教育施設)の5か所です。
· 鹿児島県(元薩摩藩)の産業遺産
旧集成館(造船・大砲鋳造)、寺山炭窯跡(燃料用木炭)、関吉の疎水溝(動力用水)の3か所です。旧集成館関係施設には旧集成館反射炉跡、旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館が含まれています。
· 長崎県の産業遺産
長崎造船所、高島炭鉱(坑口)、端島炭鉱(竪坑跡と擁壁跡)、グラバー園(高島炭鉱を経営したグラバーの住宅)など4か所です。造船所は小菅修船場跡、第三船渠、ジャイアント・カンチレバークレーン、旧木型場、占勝閣(迎賓館)の5か所を含みます。
· 福岡県と熊本県の産業遺産
三池炭鉱と三池港の2か所です。三池炭鉱の関係施設には宮原坑、万田坑、専用鉄道敷跡、三角西港などが含まれています。
· 福岡県の産業遺産
八幡製鉄所の関係施設です。旧本事務所、修繕工場、旧鍛冶工場と遠賀川水源地ポンプ室(製鉄所への送水用)などです。
· その他の地域の産業遺産
静岡県韮山の反射炉、岩手県釜石の橋野鉄鉱山、佐賀県の三重津海軍所跡(佐賀藩の船渠跡)の3か所です。
これらの明治期の鉄鋼・造船・石炭の産業化を象徴する施設のうち、朝鮮人などに対する強制労働で問題となった産業遺産は、八幡製鉄所と長崎造船所、高島炭鉱(高島・端島)、三池炭鉱です。
日本の産業遺産分布地図(民族問題研究所提供)
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1-1-2 美化された明治の成功物語

日本の産業遺産の公式名称は「明治日本の産業革命遺産:鉄鋼・造船・石炭産業」です。明治維新を主導した長州(現在の山口県)と薩摩(現在の鹿児島県)の産業化への試みと、八幡製鉄所・長崎造船所、高島炭鉱、三池炭鉱など、鉄と石炭、造船を組み合わせたものであり、日本で「産業革命」が成功したという物語です。この成功物語では、労働者たちの劣悪な生活や人権侵害、侵略戦争と植民地支配のような産業化の負の側面は触れられていません。
日本の産業遺産は最初から軍事的な性格を持っていました。日本での産業革命の「成功」により西洋の植民地へと転落することがなかったと強調していますが、鉄鋼、石炭、造船などの産業革命の結果である大砲と軍艦を利用し、日本は大韓帝国と台湾を植民地にし、中国を侵略していったのです。
また、これら施設の多くが最も活発に稼働していた第二次世界戦争中、朝鮮人と中国人、連合軍捕虜が強制的に動員され労働を強いられました。その過程で多くの犠牲者が発生しました。

 
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