Title | 天井図 03 | ||
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この長方形の壁画は、1層目の平行持ち送りの側面に描かれた壁画である。上から順に、東・西・南・北壁に位置しており、仙人や天人、瑞獣(縁起のいい動物)、花文様などさまざまな素材が登場する。まず東壁に描かれた壁画を見ると、仙人と天人が1人ずつ登場しており、画面の最後尾には1羽の鳳凰がその後ろにつき従っている。中央には山々が連なる巨大な山岳が描かれている。東方にあるという伝説上の道教の名山である三神山を表現したものである。東壁と向かい合う西壁の壁画は、そこに登場する人物の数に差はあるものの、その構図は東壁と同じである。つまり中央に山岳文を配置し、その左右に羽衣によって空を飛ぶ仙人と、鳳凰に乗って空を飛ぶ仙人たちを描いている。これもやはり左右対称を重視する、緻密に計算された構図を見せている。この山岳文は、西方にあるという道教の名山である崑崙山を描いたものである。特に崑崙山には青々とした松林が描かれていて興味をそそる。
南側の平行持ち送りの側面に描かれた壁画は4人の仙人で、彼らはすべて乗り物に頼らず羽衣で空を飛んでいる。その周辺には吉祥を表す雲が仙人らとともに動いている。最後に北壁に描かれた壁画は、これもまた4人の天人たちで、下衣だけを着用したまま天衣、すなわち羽衣によって空を飛んでいる。彼らの中には楽器を演奏する天人もいて、まるで天上の音楽が響きわたるような恍惚とした感じを与える。ここでも同じく構図上の緻密な配置が見られるのだが、南北に位置する壁画の内容がそれぞれ仙人4人と天人4人で、互いに対称的な構成を見せているという点である。
江西大墓の天井の1層目の平行持ち送りの側面の壁画において注目すべき点は、まさに運動感である。壁画の素材はすべて時計の反対方向に一斉に動いているが、このような構成は先に3層目の三角隅持ち送りの側面壁画で見たものと同じである。したがって江西大墓の天井壁画は、動、静、動が互いに交差しながら織り成す、安定的でありながらも華麗なリズム感を持った非常に優れた構図の壁画であるといえる。特にこれらが導くままに視線を追っていくと、まるで一幅の美しい巻き絵を広げて見るような興奮感を味わうことができる。
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