Title | 前室南壁 | ||
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徳興里壁画古墳の前室に描かれた壁画のうち、南壁の壁画である。前室の壁画の内容は、壁面を横切る装飾梁を境界として、天井の天上世界と壁面の現実世界に区分される。現実世界は主に公的な行事に関連する内容で、墓主の出行図や13郡太守から拝賀を受ける政事の場面、幕府図などで構成されている。天上世界には日月星辰(太陽、月、星座)や仙人および瑞獣(縁起のいい動物)、雲文様や火焔文様のような装飾文様が登場する。
前室南壁に描写された現実世界を見てみると、入口左側には墓主の出行を表現した馬車行列の一部分が表現されている。この行列は、東壁と北壁まで長く続いている。画面に見えている行列図は行列の最前列にあたるもので、楽隊と騎馬武士、旗を持って進む人物で構成されている。
入口の右側は幕府で起こる日常的な場面を描いている。
天井の天上世界には、牽牛星と織女星、天の川、南斗六星などの星座や狩りの様子、神仙世界に住む仙人や瑞獣などの素材が登場する。特にそれらの周辺には、蓮華や美しい五彩の雲気文が装飾されており、幻想的な天上世界の様子を映し出している。天上と地上の境界となる梁の上と天井の最上部の平行持送式石材の側面には、仏教的な意味を持つ火焔文が描かれている。